健腸長寿④:私たちと腸内フローラの共生

人と腸内細菌の関係とは

 私たちの腸には、約1,000種類、数にして100兆個もの多種多様な腸内細菌がすみついています。多種多様の腸内細菌と人は互いにどのように関わり合っているのでしょうか。

<腸内細菌からみた人とは>
 人の腸の中は、常に36~37度くらいに保たれています。これは多くの腸内細菌が元気に生育できる温度です。また、腸の中は酸素がほとんどありません。腸内細菌の多くは酸素があると生きられないため、腸は細菌にとって安全な場所なのです。また、人は食べた物を全て消化できるわけではありません。腸内細菌は人が消化できないような食物繊維を消化し、エサとすることができるのです。つまり腸内細菌にとって人の腸は、常に居心地の良い温度に保たれた快適なすみ家なのです。

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<人からみた腸内細菌とは>
 腸内細菌は、人が消化できなかったものを消化したり、人がつくれない栄養素をつくりだすことができ、その一部は人に利用されます。たとえば食物繊維は分子量の小さい糖や酸に分解されて人のエネルギーになりますし、傷口の止血に必要な栄養素であるビタミンKは腸内細菌によって腸内でつくられることが知られています。

 それから腸内細菌は、腸のバリア機能を高めることにも関係しています。たとえば病原菌は食べ物や飲み物と一緒にロから入ってきますが、腸にすみついている細菌は、後から侵入してきた病原菌の増殖を抑えたり、すみつくのを邪魔したりします。この現象はコロナイゼーションレジスタンスと呼ばれています。また腸には体全体の半分以上の免疫細胞が集まっていますが、腸内細菌は免疫細胞に適度な刺激を与え、免疫機能をきたえる役割も果たしていることが明らかとなっています。つまり人にとって腸内細菌は、単なる居候ではなく、人の健康な生活に欠くことのできない存在なのです。

人と共生関係にある腸内細菌

 私たちと切っても切れない関係にある腸内細菌ですが、ウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌など、有害物質をつくるなど病気の原因になるような有害菌もいれば、これらを抑え込む乳酸桿菌やビフィズス菌のような有用菌も存在します。腸内の有用菌は、乳酸や酢酸をつくり有害菌の増殖を抑えたり、腐敗産物や有害物質の産生を抑えたりして、人の健康の維持・増進に役立っているのです。

 私たちは、有害菌を含めた腸内細菌の集団(腸内フローラ)と生活を共にしており、菌と人のように、異なる種類の生き物同士が、互いに影響を及ぼし合って生きている関係は「共生」と呼ばれます。生き物同士の共生の関係には、互いが利益を得る「相利共生(そうりきょうせい)」、片方に利益がかたよっている「片利共生(へんりきょうせい)」、利益を得ている側が相手に害を及ぼす「寄生」があります。

 人と個々の腸内細菌の間にも、このようなさまざまな共生関係が存在しますが、人と腸内フローラが互いに利益を与え合う関係を築くには、乳酸桿菌やビフィズス菌のような有用菌を優勢にして、腸内フローラのバランスを良好に保つことが大切なのです。

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