腸管免疫
私たちの腸管は、食物を消化・吸収する器官であると同時に巨大な免疫器官でもあります。腸管は内臓器官ですが、その両端に位置する口腔と肛門を介して外界と接しています。腸管の表面積はバドミントンコート半面分にも達すると推定されています。従って、腸管は内なる外界であり、腸管粘膜は、細菌、ウイルス、寄生虫や化学物質などのさまざまな異物に絶えず曝されています。これらの異物から身を守るために発達した仕組みが腸管免疫系です。また、食事を摂ることによって腸管から吸収される栄養素への過剰な応答を抑えることも腸管免疫系の重要な役割です。
腸管免疫系は、1)パイエル板などのリンパ組織、2)粘膜上皮細胞とその間の免疫担当細胞、3)上皮の内側にある粘膜固有層の免疫担当細胞から構成されています。また、腸管に分布する神経や消化管ホルモンなども腸管免疫系の一部として働いていることが明らかになっています。腸管免疫系では、これらの因子が協力して働くことにより自然免疫系(顆粒球やマクロファージなど)や適応(獲得)免疫系(T細胞やB細胞など)が活性化され、さまざまな病原体の攻撃から生体を守るために役立っていると考えられています。
(2023年4月時点)
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