抗菌ペプチド
抗菌ペプチドとは、名前から想像できるように「菌に抗(あらが)うペプチド」のことを指します。抗菌ペプチドは、タンパク質の最小単位であるアミノ酸が約十~数十個連なって形成されており、我々ヒトを含めた哺乳類や植物、昆虫などあらゆる多細胞生物に菌と戦うための生体防御の機能として備わっている物質です。ペニシリンに代表される抗生物質が菌のDNA合成を阻害したり、タンパク質の生成を阻害したりするのに対し、抗菌ペプチドは菌の細胞膜を直接攻撃することで殺菌作用を発揮します。その作用は、抗生物質のような耐性菌を生み出しにくいことから、有用性が着目されています。
ヒトでは、外部と接触する皮膚や口腔、消化器、泌尿器など、ありとあらゆる部位で抗菌ペプチドが産生されており、菌の増殖を抑制することで生体と菌との共生関係の維持に大いに関係しています。抗菌ペプチドの減少や欠如が疾患と関係する事例もあることから、抗菌ペプチドが生体防御にとっていかに重要であるかがわかります。
(2023年4月時点)
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