過敏性腸症候群(IBS: Irritable bowel syndrome)
過敏性腸症候群とは、IBS(irritable bowel syndrome)とも略称され、腹痛あるいは腹部膨満感などの腹部症状と、下痢あるいは便秘などの便通異常を主体とする症状が、潰瘍やがんなどが認められないにもかかわらず持続する消化管の機能的疾患です。
国際的な診断基準(Rome IV基準)1)では、次のように定義されており、さらに便通の状態により、便秘型、下痢型、混合型、分類不能型があります。
繰り返す腹痛が、最近3か月の間で平均して少なくとも週1日あり、次のうち2つ以上の基準を満たす。
①排便すると症状が改善する
②排便頻度の変化を伴う
③便形状(外観)の変化を伴う
少なくとも診断の6か月以上前に症状が現れ、最近3か月間は基準を満たしている。
日本の有病率は人口の10-20%で、女性の方が男性よりも多いことが報告されています。IBSの発症には腸内細菌叢や腸内環境の悪化、腸管粘膜の透過性亢進や微小炎症により引き起こされる腸の知覚過敏が関与するといわれています。また、IBSは精神的ストレスや環境の変化によって症状が悪化することも知られています。これは、精神的ストレスが腸の機能に影響を及ぼし、腸の機能の変調によるストレス刺激が脳に伝わって苦痛や不安が増す「脳腸相関の悪循環」によると考えられています。
また、IBSは、カンピロバクター、赤痢菌、サルモネラなどによる感染性腸炎をきっかけに発症する場合もあり、感染性腸炎後IBSと呼ばれています。
IBSの治療法には、生活指導、食事療法、薬物療法が挙げられます。近年では、腸内細菌叢や腸内環境の改善、腸管上皮のバリア機能の強化、および免疫系や神経系のバランスの調節が期待できるプロバイオティクスを、治療法の一つとして用いることが推奨されています。
【参考】
1) Rome Foundation. Rome IV Criteria Appendix A: Rome IV Diagnostic Criteria for FGIDs.
[C] Bowel Disorders. 16 January 2016.
https://theromefoundation.org/rome-iv/rome-iv-criteria/(2023年2 月時点)
2) 機能性消化管疾患診療ガイドライン2020改訂第2版 過敏性腸症候群(IBS)日本消化器病学会編集
(2023年4月時点)
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