リポ多糖(LPS:Lipopolysaccharide)
リポ多糖は、主としてグラム陰性菌の外膜に存在する多糖のことでLPS(Lipopolysaccharide)と略されます。構造的には脂質部分であるリピッドAが外膜に埋もれるような形で膜構造を形成し、リピッドAからコアと呼ばれるオリゴ糖領域を介して多糖鎖が伸長しています(多糖が欠落した菌株も存在します)。リポ多糖は病原因子として知られ、体内に侵入したグラム陰性菌の死滅や破壊により、遊離したリポ多糖のリピッドA部分が免疫反応を過剰に亢進し、連続的あるいは同時多発的に重要臓器の機能不全を引き起すことから、内毒素(エンドトキシン)とも言います。リポ多糖によるショック症状をエンドトキシンショックと言い、敗血症ショックの原因因子でもあります。またリポ多糖の多糖部分は、菌株により特徴的な構造を有することから血清学的な分類に用いられ、O抗原と呼ばれています。大腸菌では現在、O1からO181まで分類されており、よく知られる例としてO157があります。
近年の研究で、生活習慣病やメタボリックシンドロームの主要要因である慢性炎症に、リポ多糖の体内への移行が関与しているとの説が提唱され、腸内フローラのバランスを整えることでこれらを抑制する試みも行われています。
(2023年4月時点)
“リポ多糖(LPS:Lipopolysaccharide)”の関心度
「リポ多糖(LPS:Lipopolysaccharide)」の関心度を過去90日間のページビューを元に集計しています。
3か月前
今日