健腸長寿②:健康の要、「腸」

「腸」とは

 私たちが毎日摂る食事は、ロから入って肛門から便として排泄されるまでに、食道から胃、腸の中を24~72時間かけて移動していきます。この通り道は消化管と呼ばれ、全長は約9mにも及びます。その中で最も長いのが腸で、人が生命を維持するうえでなくてはならない器官といわれています。腸はどのような働きを担っているのでしょうか。腸に備わる3つの基本的な働きを詳しくみてみましょう。

①「食べ物を消化し、栄養素を吸収する」

 腸には、食べ物に含まれる栄養素を体に吸収されやすい形に変える働きが備わっています。それは「消化」と呼ばれ、食べ物に含まれる栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質など)を吸収されやすい形や大きさに分解する工程をいいます。

 私たちが食事を摂ったとき、まず、だ液や胃の消化液で、炭水化物とたんぱく質の一部が分解され、さらに腸でたんぱく質、炭水化物に加え、脂肪の分解が進みます。

 消化された栄養素は、腸の内側にある絨毛と呼ばれるヒダから体内に取り込まれます。このヒダを全て平らに広げると、面積はテニスコート1面分に相当するといわれています。

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②「水分を吸収して便をつくり、排泄する」

 栄養が吸収された後、腸には食べもののカスが残ります。食べ物のカスからは徐々に水分が吸収され、液体から半固形状へ、最終的には固形状の便がつくられます。便は肛門の手前(直腸)まで運ばれると、刺激が脳に伝わり、便意を催すのです。

 このように、腸の2つ目の働きは、栄養素が吸収された後の食べ物のカスから水分を吸収して便をつくり、それを体の外へ排出することです。腸の運動が乱れたり、水分が正しく吸収されなかったりすると、便秘や下痢になるのです。

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③「外敵などから体を守る」

 消化管は、口から肛門まで1本のホースでつながった構造をしています。私たちは、腸の中を「おなかの中」といいますが、腸の中は、言わば「内なる外」であり、食べ物と一緒にやってくる細菌やウイルスなどのさまざまな病原体と常に接する場所でもあるのです。そのため、腸には体にとって好ましくないものを侵入させない働きが備わっています。

 まず、腸の内側はネバネバした粘液で覆われていて、それが悪い菌の体内への侵入を阻みます。また、もともと人には、外敵の侵入を感知して排除する「免疫」という仕組みが備わっていますが、その働きに関わる免疫細胞の半分以上が腸に集まっています。腸が「人体最大の免疫器官」と呼ばれているのは、そのためなのです。

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腸を守ることは、体を守ること

 私たちが生きていくうえで必要な栄養素を吸収するのも、外敵の侵入から体を守るのも腸。腸は、私たちが生きていくために必要不可欠な働きを担う、まさに健康の要といえる器官なのです。この腸が健やかであることが、体全体の健康を守ることにもつながるのです。