アレルギー⑤:L.プランタルム YIT 0132の可能性(後編)
アトピー性皮膚炎に対する有効性
アトピー性皮膚炎は皮膚に強いかゆみ症状を伴うアレルギー疾患です。アレルギー性鼻炎症状への有効性が明らかになったL.プランタルム YIT 0132を含む乳酸菌発酵果汁飲料(以下、発酵果汁飲料)について、アトピー性皮膚炎の症状に及ぼす影響を調べました。
軽度から中程度のアトピー性皮膚炎の成人32名を対象に、肌が乾燥してアトピー性皮膚炎症状の悪化しやすい10月~2月にかけて試験を実施しました。全被験者に発酵果汁飲料を1日1本、8週間飲用してもらい、アトピー性皮膚炎症状やQOLについて、皮膚疾患特異的なQOLの評価方法であるSkindex 16の調査票を用いて調査を行いました(試験1)。さらに試験1の被験者の中で同意が得られた18名については、翌年も同時期に同様の試験を繰り返し実施しました(試験2)。
その結果、試験1、2のいずれにおいても発酵果汁飲料の継続飲用によりアンケートの総合スコアは飲用前と比べて有意に低下し、さらに飲用終了8週間後でも低値を維持しました(右図)1)。
さらにアレルギーに関連した血液マーカーを調べたところ、発酵果汁飲料の飲用により、総IgE、およびECPは摂取前と比べて有意に減少することが確認されました(試験2)。このことから発酵果汁飲料はアトピー性皮膚炎に対しても症状の軽減等、有益な作用を発揮することが期待されます。
L.プランタルム YIT 0132への更なる期待
年々増加しているアレルギー。アレルギー症状はQOLの低下を招き、現代人の健康課題のひとつです。数多くの乳酸菌の中から発見したL.プランタルム YIT 0132はさまざまなアレルギー症状に対して有効性を示すことが確認され、健康課題にアプローチできる可能性が見出されました。これからも研究を継続することで、更なる効果の確認や作用のしくみの解明が期待されます。
【参考文献】
1) Harima-Mizusawa N et al. "Beneficial effects of citrus juice fermented with Lactobacillus plantarum YIT 0132 on atopic dermatitis: results of daily intake by adult patients in two open trials." Biosci Microbiota Food Health.2016,35(1),29-39.