免疫④:乳酸菌がNK活性を回復させる?!(後編)

「L.カゼイ・シロタ株」はどのようにNK活性を高めるの?

 乳酸菌の中には免疫調節作用を示すものがあり、L.カゼイ・シロタ株の継続摂取はNK活性の維持・回復に役立つとの研究成果が得られています。では、L.カゼイ・シロタ株は、どのようにNK活性を回復させるのでしょうか。まず、人体最大の免疫器官と言われる「腸」にL.カゼイ・シロタ株が到達することが大きなポイントです。

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 私たちの腸には独自の免疫システムが備わっており、体全体の半数以上の免疫細胞が集まっています。腸に到達したL.カゼイ・シロタ株は腸の免疫組織に取り込まれ、免疫細胞と出会うと考えられています。免疫細胞の中でもマクロファージのような貪食細胞は、取り込んだ相手を溶かすことでその情報を得て、他の免疫細胞に情報を伝達するなどの働きかけをします。ここでカギとなるのが、L.カゼイ・シロタ株を形づくる特有な細胞壁構造です。

 L.カゼイ・シロタ株の細胞壁は、網目状の厚い層(ペプチドグリカン)と、この層から伸びるたくさんの鎖状の糖(細胞壁多糖)から成るユニークな構造をしています。この構造により、L.カゼイ・シロタ株はマクロファージに取り込まれても溶けにくく、その溶けにくさがマクロファージを効果的に刺激し、低下した免疫を回復させると考えられます。

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L.カゼイ・シロタ株の細胞壁構造
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マイクロファージに取り込まれたL.カゼイ・シロタ株(緑色)

まとめ

 私たちの体の中には、外界から侵入する病原微生物などの外敵や体の中で発生するがん細胞のような内なる敵から身を守るため、免疫という仕組みが備わっています。そして、腸には独自の免疫システムがあり、腸管からの病原菌の侵入を防いだり、食物アレルギーの発症を抑えるように働いていることも明らかになっており、「人間の健康の源は腸」とまで言われるほどの大事な役割を果たしています。

 L.カゼイ・シロタ株は、この腸に生きて到達し、整腸作用を示すだけでなく、免疫の最前線で戦っている「NK細胞」の活性を高めるのに役立つことがわかってきました。そして、細菌やウイルスによる感染を防ぐ作用や発がんリスクを低減させる作用などの健康効果をもたらすことも明らかになっています。食生活に手軽に取り入れることのできるプロバイオティクスとして、L.カゼイ・シロタ株を体の健康維持のために利用されてはいかがでしょうか。


【出典】
・K. Shida, et.al., J. Dairy Sc. 89, p3306-3317 (2006)