健腸長寿⑤:腸内フローラのバランスをくずす要因

腸内フローラのバランスをくずす要因

人の腸内には、健康の維持増進に関わる乳酸桿菌やビフィズス菌のような有用菌ばかりではなく、体をむしばみ病気の原因となる有害菌もすんでいます。腸内フローラのバランスを良好に保つということは、有害菌を抑え有用菌を優勢にすることであり、それが私たちの健康の維持増進に関わると考えられています。腸内フローラのバランスはどのようなことで影響を受け、バランスがくずれるのでしょうか。

腸内フローラのバランスをくずす要因① -食生活―

腸内フローラのバランスは、さまざまな要因で変化することが知られています。たとえば食生活。私たち日本人は、かつては米を中心とした低脂肪、高食物繊維の伝統的な日本食を食べていました。しかし昨今、肉を中心とした高脂肪、高たんぱく質の欧米風の食事へと変化しています。

グラフは、伝統的な日本食を食べている人は欧米食を食べている人に比べて、便の中のビフィズス菌や乳酸桿菌が多く、欧米食を食べている人の方が毒素をつくる有害菌のウェルシュ菌が多くみられたことを示しています。たんぱく質は私たちの体に必要な栄養素ですが、有害菌はこのたんぱく質を分解して、アンモニアなどの腐敗産物をつくり出します。このように食生活は、腸内フローラバランスに大きく影響するのです。

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腸内フローラのバランスをくずす要因② -年齢―

腸内フローラは年齢により変化していくことが知られています。人は母親の胎内では無菌の状態ですが、出生時に母親の産道を通って外界に出ることによって、さまざまな菌と出会いフローラが形成されていきます。腸内では、まず大腸菌の仲間が増え、続いてビフィズス菌が優勢になります。母乳にはビフィズス菌のエサになるオリゴ糖がたくさん含まれていて、ビフィズス菌優勢の腸内フローラ形成を促すのです。

一方、有害菌は、離乳期を迎え普通の食物を摂りはじめると増えてきます。さらに老年期になると、体の機能が衰えて、未消化の食べ物が腸内に長くとどまるようになります。するとそれをエサにする有害菌が勢力を増し、ビフィズス菌は劣勢になっていきます。

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こんなことでも腸内フローラのバランスはくずれてしまう?!

食事や年齢以外にも、腸内フローラのバランスに影響を与える要因はいくつかあり、ストレスや疾患なども、腸内フローラのバランスをくずす要因として知られています。また抗菌薬の使用も腸内フローラに大きな影響を与えます。抗菌薬は、感染症の治療で欠くことのできないものですが、細菌を殺すための薬であり、有用菌・有害菌の区別はできません。有用菌を含む多くの腸内細菌を減少させます。通常は1~2週間で元に戻りますが、病気や手術で長期にわたり使用すると、常に腸内フローラは乱れた状態になってしまいます。

腸内フローラのバランスを保つために

腸内フローラのバランスがくずれ、有用菌が減ってしまうと、便秘や下痢などさまざまな体の不調が起こりやすくなります。 良好な食生活は、健康づくりに役立つだけでなく、人と腸内フローラの望ましい関係を築くうえでも大切なことです。有用菌を増やすには、食物繊維やオリゴ糖など有用菌のエサになる食材を意識的に取り入れることに加え、乳酸桿菌やビフィズス菌のような有用菌を外から補うことも手軽に実践できる方法です。