腸の健康に役立つ機能性素材②:ガラクトオリゴ糖のパワー


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腸内の良い菌のエサとなって、それらを増やす

 ヒトの消化管で消化吸収されにくい「ガラクトオリゴ糖」。その特性からほとんどが消化吸収されずに大腸までとどき、一部の腸内細菌のエサとして利用されますが、特に良い菌の代表であるビフィズス菌のエサとなり、それらを増やすはたらきがあります。
 

 便中のビフィズス菌数が少ない健康な成人を2つの群に分け、片方には1日にガラクトオリゴ糖を2.5g、もう片方には1日にガラクトオリゴ糖を5g、2週間継続して飲用してもらい、ビフィズス菌数を調べる試験を行いました。
 右のグラフは、ガラクトオリゴ糖5gを飲用した群の結果です。ガラクトオリゴ糖の飲用期間中に便中のすべての菌に占めるビフィズス菌の割合が高くなることが分かりました1)
 また、この試験からガラクトオリゴ糖の飲用をやめるとビフィズス菌の割合が減ってしまうことも明らかになりました。腸内の良い菌を増やし、腸内環境を良い状態に保つためには、継続してガラクトオリゴ糖を摂ることが重要と言えます。

ガラクトオリゴ糖飲用による総菌数に占めるビフィズス菌の割合の変化のグラフ

お通じの改善に役立つ

 ガラクトオリゴ糖は、腸内のビフィズス菌を増やすはたらきのほか、便通を改善するはたらきも確認されています2)
 便秘気味の健康な成人に、ガラクトオリゴ糖を5.0g含む飲料またはガラクトオリゴ糖を含まないプラセボを1日1本、1週間飲用してもらいました。その後1週間飲用を中止し、飲用サンプルを入れ替えて、飲用期間中の排便回数、排便日数を調べました。
 その結果、全対象者において、ガラクトオリゴ糖を飲んだ時では、プラセボを飲んだ時と比較して、排便回数が有意に増加しました(図1)。また、排便が週に0~4回の対象者において、ガラクトオリゴ糖を飲んだ時では、プラセボを飲んだ時と比べて排便日数が有意に増加しました(図2)。
 

ガラクトオリゴ糖飲用による排便状況の変化(全被験者)
図22)
ガラクトオリゴ糖飲用による排便状況の変化(便秘ぎみの被験者)
図12)

ガラクトオリゴ糖はプレバイオティクスの代表

 私たちヒトの腸内には多種多様な腸内細菌が群れをなしてすみついており、この腸内細菌の集団を腸内フローラと言います。腸内フローラ研究の進展により、腸内フローラのバランスを整え、腸内環境を良好にすることがヒトの健康維持と関わりがあることが分かってきました。
 腸内環境を整えるアイテムとしてプロバイオティクスと並んで注目されているのが「プレバイオティクス」。
 プレバイオティクスとは、右の条件を満たす食品成分のことで、ヒトの消化酵素で分解されずに大腸にとどき、良い菌のエサとなってそれらの増殖を促し、腸内フローラのバランスを整え、ヒトの健康維持・増進に役立つものとされています。

プレバイオティクスの条件

 ガラクトオリゴ糖は、消化吸収されにくい難消化性オリゴ糖で、大腸にとどいて、良い菌(ビフィズス菌)のエサとなって増殖を促し、腸内フローラのバランスを整えること、また、便通改善が確認されています。
 まさにガラクトオリゴ糖はプレバイオティクスといえ、腸の健康に役立つ機能性素材といえます。プロバイオティクスに加えて、ガラクトオリゴ糖などのプレバイオティクスもうまく活用し、おなかの健康を保つために役立てましょう。

【参考文献】
 1) 松本一政 他. "新ガラクトオリゴ糖含有液糖がヒト腸内菌叢に及ぼす影響." 腸内細菌学雑誌.2004,18(1),25-35.
 2) 出口ヨリ子 他. "β1-4系ガラクトオリゴ糖の摂取が便秘傾向の健常人の便通及び便性改善に及ぼす影響." 栄養学雑誌.1997,55(1),13-22.
 3) Gibson GR, Roberfroid MB. "Dietary modulation of the human colonic microbiota: introducing the concept of prebiotics." Journal of Nutrition.1995,125,1401-1412.