免疫⑥:乳酸菌が上気道感染症の発症を抑える!?(後編)
L.パラカゼイ・シロタ株の免疫細胞へのはたらきかけを検証
私たちに身近な上気道感染症。
これまでの研究で、L.パラカゼイ・シロタ株は、ウイルスに感染した細胞やがん細胞などをやっつけるNK細胞の活性を高めること、また、病原体の排除に必要な唾液中のIgA抗体※の減少を抑えることによって、上気道感染症の発症を抑制する可能性が示されています1,2)。
このようにL.パラカゼイ・シロタ株が一部の免疫細胞を活性化することで健康効果をもたらすことは分かっていましたが、免疫応答の起点となる
※IgA抗体:免疫細胞のひとつであるB細胞がつくる抗体のひとつで、涙や唾液、粘液、母乳中に多く存在します。細菌やウイルスに結合し、これら病原体の体内への侵入を防いでいます。
免疫応答の起点「貪食 細胞」とは
免疫細胞には、異常をきたした自己の細胞に対して速やかに攻撃を行うNK細胞、異物の情報をもとに他の免疫細胞に攻撃の指示をだすヘルパーT細胞、他の免疫細胞から情報を受けて抗体を作るB細胞など、さまざまな役割をもつものが存在し、これらが連係して異物を排除し、体を守っています(図1)。この免疫細胞が異物を排除するプロセスを免疫応答といい、免疫応答の起点となるのが貪食細胞です。
貪食細胞は異物を発見すると、まるで食べるかのように細胞内に取り込んで消化し、異物の情報を他の免疫細胞に提示する役割があります。さらに貪食細胞は、他の免疫細胞を呼び集めたり活性化したりする物質を出して、異物の排除を促します。このように、貪食細胞は免疫応答の起点となる大変重要な細胞なのです。
L.パラカゼイ・シロタ株は貪食細胞を活性化する
前話で紹介した試験では、L.パラカゼイ・シロタ株による上気道感染症症状への影響と同時に、貪食細胞へのはたらきかけを調べました。
その結果、貪食細胞のひとつである従来型樹状細胞の活性化の指標であるHLA-DR分子の発現が、対照飲料群に比べて、L.パラカゼイ・シロタ株含有飲料群では有意に高まりました(図2)。
このことからL.パラカゼイ・シロタ株含有飲料の継続飲用は、免疫応答の起点となる貪食細胞を活性化させることが示されました。
L.パラカゼイ・シロタ株が貪食細胞にはたらきかけて免疫応答を活性化させることで、人の健康維持に役立つことを示す根拠のひとつとなる研究成果と言えます。
L.パラカゼイ・シロタ株を健康管理に役立てよう!
最新の研究により、L.パラカゼイ・シロタ株が免疫応答の起点となる貪食細胞にはたらきかけて全身の免疫に作用することで、上気道感染症の発症を抑える可能性が示されました。
毎日の食事で手軽に摂れるL.パラカゼイ・シロタ株を、健康管理に役立ててみてはいかがでしょうか。
※本ページに記載のL.パラカゼイ・シロタ株の旧名称は、L.カゼイ・シロタ株です。
【参考資料】
1) Gleeson M et al. Daily probiotic's (Lactobacillus casei Shirota) reduction of infection incidence in athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2011;21(1):55-64.
2) Shida K et al. Flexible cytokine production by macrophages and T cells in response to probiotic bacteria: a possible mechanism by which probiotics exert multifunctional immune regulatory activities. Gut Microbes. 2011;2(2):109-14.
3) Naito T et al. Lacticaseibacillus paracasei strain Shirota suppresses upper respiratory tract infections and activates mononuclear phagocytic cells in healthy Japanese office workers: a randomized, double-blind, controlled trial. Biosci Microbiota Food Health. 2025;44(3):215-226.

