菌の図鑑

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ニトロソモナス ユーロピア

ニトロソモナス ユーロピア
学名 Nitrosomonas europaea
分類 Pseudomonadota 門 Betaproteobacteria 綱
Nitrosomonadales 目 Nitrosomonadaceae 科
形状 桿菌
分布 土壌や湖沼、排水処理施設など
発見 1892年
発見者 セルゲイ・ウィノグラドスキー(ロシア)

ニトロソモナス ユーロピアとは

 1892年、ロシアの土壌生物学者であるウィノグラドスキーは、窒素の代謝に関わる多くの微生物を土壌中から発見しました。その中の一つが、アンモニアを酸化し亜硝酸を作る細菌です。当初シュードモナス ユーロピアと名づけられたこの菌は、さまざまな変遷を経て、「ヨーロッパで見つかった、亜硝酸を作る単細胞原核生物」という意味のニトロソモナス ユーロピアと呼ばれるようになりました。グラム陰性の桿菌で、細胞の大きさは0.8~0.9×1.0~2.0マイクロメートルです。増殖速度はとても遅く、例えば1つの細胞が2つに分裂するのに必要な時間は、大腸菌では30分程度であるのに対し、ニトロソモナス ユーロピアでは数日もかかります。

水浄化への利用 -汚水中のアンモニアを亜硝酸に変換する菌-

 ヒトが現代的な暮らしを謳歌する裏で、窒素を含んだ大量の汚水が生じています。窒素を環境に大量に排出すると、水圏では富栄養化が進行します。その結果、赤潮やアオコなどによる被害が発生し、生態系に打撃を与える場合もあることから、汚水から窒素を除去することは極めて重要です。窒素の除去は微生物により行われますが、その一端をニトロソモナス ユーロピアを代表とするアンモニア酸化細菌が担っています。汚水に含まれる窒素の大部分はアンモニアとして存在しています。このアンモニアを、アンモニア酸化細菌が亜硝酸に変換します。その後、亜硝酸酸化細菌(ニトロバクター属やニトロスピラ属)と脱窒菌により、窒素は最終的にガスとなって汚水から取り除かれます。この方法は世界中の多くの汚水処理施設で採用されていて、ニトロソモナス ユーロピアを代表とするアンモニア酸化細菌は、亜硝酸酸化細菌や脱窒菌と力を合わせ、今日も環境を守っています。

(2023年6月時点)

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