菌の図鑑

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パラサテレラ エクスクレメンティホミニス

パラサテレラ エクスクレメンティホミニス
学名 Parasutterella excrementihominis
分類 Proteobacteria 門 Betaproteobacteria 綱
Burkholderiales 目 Sutterellaceae 科
形状 球桿菌
分布 ヒトの腸内
発見 2009年
発見者 長井ら(ヤクルト中央研究所)

菌の特徴

 パラサテレラ エクスクレメンティホミニスは、偏性嫌気性※1のグラム陰性※2球桿菌※3で芽胞※4を作らず、運動性を持ちません。一般の培地では非常に増殖が悪く、そのうえ糖を資化する能力がありません。コロニーも針の先で突いたような、つまり、英語で表現するとpin pointと表される非常に小さいものです。

新しい「属」の提唱

 ヤクルト中央研究所では、2008年にサテレラ パルビルブラを発見しています。パラサテレラ エクスクレメンティホミニスを系統解析したところ、サテレラ パルビルブラと非常に近縁な菌種であることが分かりました。しかし、サテレラ属とは系統関係や生化学性状が異なることから2009年に新菌属新菌種として提唱しました。

 属名は、サテレラ属に近いことから"近い"を意味するラテン語"para"を結合してパラサテレラ属とし、菌種名は"faeces of a human(ヒトの糞便)"を意味するラテン語"homo"と"excrementum"を結合してexcrementihominis と命名しました。次の項で紹介するパラサテレラ セクンダは、この新属に属する2番目に発見した菌種です。

新しい「科」の提唱

 現在の分類学では、「属」よりも上位の階級に「科」があります。パラサテレラ属と、これと近縁なサテレラ属は、従来はアルカリゲナセアエ科に属すると考えられていました。しかし、これら2属の系統関係や生化学性状を詳しく解析したところ、菌体脂肪酸やキノン組成からもアルカリゲナセアエ科の他の菌種とは異なる、別の分類群に分けられることが判明しました。そこで、パラサテレラ属とサテレラ属をまとめ、新たにサテレラセアエ科を提唱しました。

出典

Nagai F et al.Parasutterella excrementihominis gen. nov., sp. nov., a member of the family Alcaligenaceae isolated from human faeces.International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology. 59(7):1793-1797(2009)

注釈

※1 偏性嫌気性菌 : 特に酸素を嫌う性質の菌。

※2 グラム陽性/陰性 : 細菌を色素で染色し、それにより細菌を分類する基準のひとつ。紫色に染まるものは陽性、紫色に染まらず赤く見えるものは陰性と区別される。染色の違いは細胞壁の構造の違いによる。

※3 球桿菌 : 桿菌の中でも長径と短径の比率がほとんど変わらず、球菌と見分けのつかない菌。

※4 芽胞(がほう) : 胞子と同じ意味。細菌学の分野ではこの呼び方が多い。

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