菌の図鑑

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エシェリヒア コリ

エシェリヒア コリ
学名 Escherichia coli
分類 Pseudomonadota 門 Gammaproteobacteria 綱
Enterobacterales 目 Enterobacteriaceae 科
通称 大腸菌
形状 桿菌
分布 ヒトおよび動物の腸内
発見 1885年
発見者 T. エシェリッヒ(オーストリア)

大腸菌とは

 1885年、ウィーン大学教授のT.エシェリッヒは母乳栄養児の腸内から最も優勢だと思われる細菌を発見し、bacterium;バクテリウム(細菌) coli;コリ(大腸)と命名しました。エシェリッヒは大腸内の代表的な細菌だと思って、このような名前をつけましたが、実際はヒトの腸内細菌の0.01%以下にすぎないことが後にわかりました。大腸菌は通性嫌気性で、酸素がある環境下でよく育つのですが、腸内には酸素がない状態でよく育つ細菌(偏性嫌気性菌)がいて、数の上では大腸菌をはるかに上回っています。当時はこのような細菌をうまく培養できなかったため、大腸菌が腸内で最優勢の細菌だと考えたのでしょう。後に学名はエシェリヒア コリ(Escherichia coli)と改められましたが、 これは発見者の名に由来しています。

身の回りの大腸菌

 大腸菌のほとんどの株は無害ですが、株によっては強い病原性をもつものもあります。その中で、病原性大腸菌O157は最もよく知られている株です。1982年にアメリカのオレゴン州とミシガン州で、ビーフハンバーガーを食べた住民が腹痛と血便を訴える食中毒事件が発生しました。その原因菌として見つかったのが、O157です。国内では、1996年に大阪堺市でO157による集団食中毒事件が起こり、社会問題となりました。

 また、大腸菌はその扱いやすさなどの理由から、さまざまなところで用いられています。例えば、大腸菌に遺伝子を組み込んで、インスリンなどの有用な物質を作らせたりしていて、大腸菌は私たちの生活に密接に関わっている細菌といえます。

(2023年6月時点)

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