ストレプトコッカス ミュータンス
学名 | Streptococcus mutans |
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分類 | Bacillota 門 Bacilli 綱 Lactobacillales 目 Streptococcaceae 科 |
通称 | ミュータンス菌・むし歯菌 |
形状 | レンサ(連鎖)球菌 |
分布 | ヒトの口腔(とくに歯垢)、動物の口腔 |
発見 | 1924年 |
発見者 | J. K. クラーク(イギリス) |
ミュータンス菌とは
1924年、J. K. クラークがむし歯の病巣部から、いろいろな糖から酸を産生し、歯の表面に強く粘着する一群のレンサ(連鎖)球菌を分離しました。そして、これをStreptococcus;ストレプトコッカス(レンサ球菌)mutans;ミュータンス(変異する)と名づけました。しかしこの菌は、当時はあまり注目されませんでした。
1954年、オーランド、フィッツジェラルドらは、菌のいない動物(無菌動物)をむし歯の実験に使い、無菌動物にむし歯をつくることのできる菌を発見しました。また、この菌と血清的に同じ菌が、ヒトの口の中からも見つけられました。さらにいろいろな性質が調べられた結果、この菌は、クラークにより分離・命名された菌と同一であることが明らかとなりました。
ストレプトコッカス ミュータンスは、通性嫌気性菌の一種でショ糖を含む液体培地のなかで、粘着性のグルカンを多量に作ります。これが歯垢(プラーク)で、ガラスや歯のようなつるつるした表面に細菌を付着させやすくします。このようにつるつるした表面に付着できる能力というのは、この菌特有のものです。
ミュータンス菌とむし歯の関係
この菌は、ヒトの口の中に好んで住みつきますが、糖類を摂取する動物の口腔や糞便からも検出することができます。ヒトの場合はとくに歯垢中に多く、舌面や唾液中からはあまり検出されません。年齢的にみると、生まれたての乳児の口からはあまり見出されませんが、乳歯が生え始める頃から見られるようになり、2~13歳ごろまでが最も高い検出率(80~93%)を示すようになります。
歯の表面(エナメル質表層)に強固な歯垢が形成されると、この菌は乳酸発酵を行います。すると歯垢の中に乳酸が蓄積され、これがエナメル質を腐蝕(脱灰)し、むし歯が始まるのです。むし歯発生やむし歯の病巣と、この菌の出現頻度や菌数との関係については多くの調査結果から高い関連性が認められ、さらに生物学的な研究結果からも、この菌がむし歯の発生に重要な役割を演じていると考えられています。
(2023年6月時点)
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