スタフィロコッカス アウレウス
学名 | Staphylococcus aureus |
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分類 | Bacillota 門 Bacilli 綱 Caryophanales 目 Staphylococcaceae 科 |
通称 | 黄色ブドウ球菌 |
形状 | 球菌 |
分布 | 化膿した傷口、鼻粘膜、腸内 |
発見 | 1878年 |
発見者 | R. コッホ(ドイツ) |
菌の特徴
切り傷やかすり傷を放置しておくと、化膿して黄色い膿になることがあります。この膿は、傷口に外部から侵入した細菌と、これをやっつけて崩壊した白血球などが入り混じってできたものです。膿が黄色いのは、浸潤した白血球や炎症組織が溶解した液体の色に加え、黄色ブドウ球菌が黄色い色素を出すためです。
黄色ブドウ球菌は、1878年にロベルト・コッホによって発見され、その後ローゼンバッハにより、スタフィロコッカス アウレウスと命名されました。staphylo;スタフィロは「ブドウの房状の」、coccus;コッカスは「球菌」、aureus;アウレウスは「黄金色の」を意味します。ただし現在では黄色い色素の産生ではなく、黄色ブドウ球菌に特有のコアグラーゼという酵素を産生するものを黄色ブドウ球菌としており、鼻腔や表皮にいる表皮ブドウ球菌や泌尿器周辺にいる腐性ブドウ球菌と区別しています。
食中毒原因菌
黄色ブドウ球菌は通性嫌気性菌の一種で、他のブドウ球菌より病原性が強いことが知られており、この菌による代表的な感染症が食中毒です。食品中で増殖した菌が毒素をつくり、その汚染された食品を食べた場合は激しい嘔吐を引き起こします。この食中毒の予防は厄介で、食品を加熱して黄色ブドウ球菌が死んでも毒素は残ってしまうことから、手指を清潔にして食品を汚染しないことが最大の予防法です。
院内感染原因菌
黄色ブドウ球菌は、菌数は多くないですが私たちの腸内にも住みついています。そして腸内フローラが安定している限りはおとなしくしていますが、大きな怪我や病気、抗菌薬の投与、加齢など、腸内フローラが乱れ抵抗力が低下した場合に、感染症を引き起こすことがあります。さらに医療の現場では、特定の抗菌薬に耐性な黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌:MRSA)の出現が問題となっています。抗生物質の繁用が原因と考えられており、1961年に英国で初めて報告されました。1980年代になって日本国内に分布するようになり、院内感染の原因菌であることから臨床ではMRSAへの対策が急務となっています。
(2023年6月時点)
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