キューティバクテリウム アクネス
学名 | Cutibacterium acnes |
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分類 | Actinomycetota 門 Actinomycetes 綱 Propionibacteriales 目 Propionibacteriaceae 科 |
通称 | アクネ菌 |
形状 | 桿菌 |
分布 | ヒトの皮膚、ヒトや動物の腸管内 |
発見 | 1893年 |
発見者 | P. G. ウンナ(ドイツ) |
アクネ菌とは
キューティバクテリウム アクネス(アクネ菌)は、幅0.4~0.7マイクロメートル、長さ1~5マイクロメートルの無芽胞性のグラム陽性桿菌で、空気の存在下で成育できるものの基本的に酸素のないところを好む通性嫌気性菌です。カタラーゼ陽性で、運動性は有しません。主な代謝産物はプロピオン酸ですが、その他にポルフィリンという蛍光性の物質も知られています。さらにヒアルロニダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど種々の酵素を産生します。
皮膚常在菌としてのアクネ菌
アクネ菌は、ほとんど全ての人の皮膚や毛穴におり、表皮ブドウ球菌とともに皮膚常在菌の代表といえます。脂質を好むため皮脂の分泌量が多い顔や背中に多く、そこからは1平方センチメートルあたり10万~100万個の菌が検出されます。
アクネ菌の学名は1893年にウンナがにきび(アクネ)内で観察したことに由来しており、昔はにきびの原因といわれてきました。しかし、最近ではアクネ菌は直接的な原因ではなく、にきびを悪化させる要因と考えられています。思春期に皮脂の分泌量が増えたり、毛穴の入口の角層が異常に厚くなって毛穴をふさいだりすると、毛穴の中に皮脂がたまりアクネ菌にとって酸素が少なく栄養の多い好都合な環境になります。すると菌が過剰に増殖し、菌が産生するリパーゼによって皮脂からつくられた脂肪酸や菌体の成分が炎症を引き起こして赤みや膿(うみ)を持つにきびになるのです。アクネ菌はこのほかにも心内膜炎、敗血症、サルコイドーシスなどの病気との関連が知られています。しかし、通常は何の悪さもせず、むしろ代謝産物であるプロピオン酸や脂肪酸によって皮膚表面を弱酸性に保ち、さらに有害菌の皮膚への定着を防ぐ働きがあると考えられています。アクネ菌は学名や通称からにきびを連想するため皮膚の有害菌の代表のようなイメージがあるかもしれませんが、実はそうではなくヒトと共生関係にある菌といえるでしょう。
(2023年6月時点)
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