フシカテニバクター サッカリボランス
学名 | Fusicatenibacter saccharivorans |
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分類 | Bacillota 門 Clostridia 綱 Eubacteriales 目 Lachnospiraceae 科 |
形状 | 桿菌 |
分布 | ヒトおよびブタの腸内 |
発見 | 2013年 |
発見者 | 高田ら(ヤクルト中央研究所) |
菌の特徴
本菌は、ヒトの糞便を寒天培地で培養し、培地上に生やした数百個の雑多なコロニーの中から発見された新属新菌種です。分子生物学的手法を使って、ヒト腸内における本菌の分布をさまざまな年齢層で調べた結果、成人では高い頻度・菌数で分布していたのに対し、老人では分布頻度が低く、菌数も成人の1/1000程度であることがわかりました。この要因として、成人に比べて老人では食事の内容が単純化し、摂取量が少なくなっていることが挙げられます。大腸内にはヒトが消化、吸収できない多糖類や食物繊維が存在し、それらが腸内細菌の餌になっています。本菌の特徴は、多糖類を分解するための酵素を持っていることです。すわなち、老人の腸内では本菌の餌となる多糖類が成人に比べて少ないため、菌数が少なくなっていると考えられます。本菌は、ヒトの腸内で多糖類を発酵し、有機酸を産生します。それは腸内環境の維持につながり、私達の健康に寄与すると考えられます。さらに、潰瘍性大腸炎(UC)患者では、健康なヒトに比べて本菌の菌数が少なく、また腸に炎症を起こした動物に本菌を投与する試験により、本菌には腸の炎症を抑える作用が報告されており、将来UCの治療薬としての利用が期待されています。
菌名の由来
属名のフシカテニバクターは、"連鎖する紡錘形の桿菌"を意味し、種名のサッカリボランスは、"糖を貪り食う"を意味するラテン語です。
出典
Takada T. et al. Int J Syst Evol Microbiol 63:3691-3696.(2013).
Takeshita K. et. al. Inflammatory Bowel Disease. 22:2802-2810(2016) .
Kurakawa T. et al. PLoS One. (2015) .
(2023年6月時点)
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