菌の図鑑

私たちのくらしの中で息づく、菌たちの素顔を覗いてみませんか?

アシダミノコッカス ファーメンタンス

アシダミノコッカス ファーメンタンス
学名 Acidaminococcus fermentans
分類 Bacillota 門 Negativicutes 綱
Acidaminococcales 目 Acidaminococcaceae 科
形状 球菌
分布 ヒトおよび動物の腸管
発見 1966年
発見者 フラー(アメリカ)

アシダミノコッカス ファーメンタンスとは

 アシダミノコッカス ファーメンタンスは、1966年にアメリカのフラーによって、グラム陰性を示す偏性嫌気性の双菌としてブタの消化管から分離されました。その後、同じくアメリカのロゴサによってその性状が詳しく調べられ、1969年に命名されました。この菌は、一般的な細菌が利用するグルコースをはじめ、糖アルコールや他の炭水化物をほとんど利用しない一方で、アミノ酸であるグルタミン酸を発酵して増殖することから、その名が付けられました。 Acidamino はラテン語で「アミノ酸」を、 coccus はギリシャ語で「粒」を、 fermentans はラテン語で「発酵する」を意味します。グルタミン酸から発酵産物として、酢酸、酪酸および炭酸ガスを産生することがわかっています。

ヒトにおける分布および健康との関わり

 大腸ポリープなど腸に疾患を持つ患者の糞便中の細菌群集を分子生物学的手法で解析した結果、アシダミノコッカス ファーメンタンスに由来すると考えられる遺伝子が見つかっています。また、健康な人の糞便からも分離された報告があることから、この菌は常在菌としてヒトに分布していると考えられます。一方、腹部膿瘍や肺膿瘍といった臨床検体からも見つかっていますが、その病原性についてはまだわかっていません。本菌のゲノムDNA配列の解読が終了していることから、今後、病原性をはじめ、ヒトの健康との関わりについて新たな知見が得られることが期待されます。

出典

 Fuller R. J Appl Microbiol 29:375-379 (1966).
 Rogosa M. J Bacteriol. 98:756-66 (1969).
 Mai V et al. Gut 55:1822-1823 (2006).
 Sugihara et al. Appl Microbiol 27: 274-275 (1974).
 Chang YJ et al. Stand Genomic Sci. 29:1-14 (2010).

(2023年6月時点)

“アシダミノコッカス ファーメンタンス”の関心度

「アシダミノコッカス ファーメンタンス」の関心度を過去90日間のページビューを元に集計しています。

3か月前

今日

菌の図鑑関心度ランキング