スタフィロコッカス エピデルミディス
学名 | Staphylococcus epidermidis |
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分類 | Bacillota 門 Bacilli 綱 Caryophanales 目 Staphylococcaceae 科 |
通称 | 表皮ブドウ球菌 |
形状 | 球菌 |
分布 | ヒト、動物の表皮、粘膜 |
発見 | 1908年 |
発見者 | E. A. ウィンスロウら(アメリカ) |
油断は禁物!!身近な常在菌
ギリシャ語のstaphylo;スタフィロ(ブドウの房状の)、epiderm;エピデルム(表皮)に由来して名付けられた本菌は、ブドウの房状に配列する、ヒトや動物の皮膚(表皮)に多く生息するグラム陽性の通性嫌気性菌です。表皮ブドウ球菌という通称の他、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌とも呼ばれています。これは、同じブドウ球菌の中でも、コアグラーゼという血栓形成の原因物質を産生する菌と区別するためです。その他、重篤な感染症の原因となるような強い毒素も産生しないため、通常では非病原菌とされています。しかし、バイオフィルム(粘液物質)を形成し、それを防御膜のように利用することで、宿主や器具への付着性を高めたり、過酷な環境下でも増殖できるようにしたりするので、医療の現場では、心臓弁やカテーテル、人工関節などの医療器具に付着し体内に侵入した菌が増殖し、深在性の化膿症(心内膜炎、膀胱炎、敗血症など)を引き起こすことや、薬剤耐性菌による院内感染が問題となっています。
うまく付きあうことが美肌の秘訣!?
日常生活においては、コンタクトレンズ装着による角膜炎、オムツ蒸れによる汗疹、生乾きの洗濯物やソファーの悪臭の原因菌であることが報告され、それに対処する製品も開発されています。一方で、国内では「本菌とうまく付き合って美肌になる」という美容法の紹介も多く見られます。本菌は皮膚上で汗の成分を栄養にして保湿成分(グリセリンなど)や皮膚を弱酸性に保つ成分(脂肪酸など)を産生し、肌の潤いを保ったり体臭の原因菌の増殖を妨げたりします。美容法とは、アルカリ石鹸で強く体を洗い殺菌しすぎない、適度に汗をかくなど、本菌の育菌を意識しようというものです。また本菌が皮膚に常在していると、本菌が抗菌物質を産生したり、もともと皮膚に備わる免疫機構が鍛えられたりするので、病原菌の感染を予防できるという研究報告もあります。皮膚の健康を守る皮膚フローラという考え方につながる興味深いもので、さらなる研究の進展が期待されます。
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