ビフィドバクテリウム アドレセンティス
学名 | Bifidobacterium adolescentis |
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分類 | Actinomycetota門 Actinomycetes綱 Bifidobacteriales目 Bifidobacteriaceae科 |
形状 | 桿菌 |
分布 | ヒト腸内、ウシルーメン等 |
発見 | 1963年 |
発見者 | G. ロイター(ドイツ) |
ビフィドバクテリウム アドレセンティスとは
ビフィズス菌はさまざまな動物の腸内にすんでおり、そのうち数菌種はヒトからもよく検出されます。ヒト腸内に多く存在するビフィズス菌種は年代によって変化しますが、adolescence(大人への成長期)にその名を由来するビフィドバクテリウム アドレセンティスは、10代以降のヒトに最も豊富に存在するビフィズス菌種のひとつで、成人のおよそ半数が保有しています。偏性嫌気性菌で、さまざまな糖を利用して増殖し、特に難消化性でんぷんの分解・利用が得意です。本菌種が難消化性でんぷんを分解してつくる代謝物は、腸内にすむほかの有益な細菌も活性化させると考えられています。
本菌種は、酢酸等の有機酸、γ-アミノ酪酸(GABA)、ビタミン等の有益な物質を産生することが報告されています。腸内フローラを調べると、本菌種は高齢者で減少することや、腸や肝臓の病気、メタボリックシンドローム関連疾患、アレルギー等の罹患者において減少することが報告されていることから、ヒトの健康に貢献する菌種であると推定されています。
ヤクルト本社中央研究所での研究
ヤクルト本社中央研究所での研究により、ビフィドバクテリウム アドレセンティスはヒト腸内に存在するでんぷん顆粒の表面にすみつくこと、また、未調理のでんぷん顆粒(難消化性でんぷんが多く含まれる)を摂取することにより腸内で大幅に増加することがわかりました。このとき、腸内に本菌種を保有する被験者では腸内の酢酸濃度が増加していましたが、この菌種を保有しない被験者では別の菌種と別の代謝産物が増加していました。この研究の結果は、本菌種がヒト腸内ででんぷん顆粒を最も優先的に利用する菌種であり、本菌種の保有の有無により、でんぷん顆粒に対するヒト腸内細菌叢の反応が大きく変わることを示唆しています。
出典
1. Bergey's Manual of Systematics of Archaea and Bacteria, Online © 2015
2. Leser T. & Baker A. Benef Microbes 14:525-551. (2023)
3. Nagara Y. et al. ISMEJ 16:1502-1511. (2022)
(2024年9月時点)
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