菌の図鑑

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ニトロバクター ウィノグラドスキイ

ニトロバクター ウィノグラドスキイ
学名 Nitrobacter winogradskyi
分類 Pseudomonadota 門 Alphaproteobacteria 綱
Hyphomicrobiales 目 Nitrobacteraceae 科
形状 桿菌
分布 土壌や湖沼、排水処理施設など
発見 1892年
発見者 セルゲイ・ウィノグラドスキー(ロシア)

ニトロバクター ウィノグラドスキイとは

 1892年、ロシアのセルゲイ・ウィノグラドスキーは、亜硝酸を酸化して硝酸を作り出す細菌を土壌から分離しました。発見者の名前と、「硝酸を作る桿菌」という特徴から、この細菌はニトロバクター ウィノグラドスキイと名づけられました。グラム陰性の桿菌で、細胞の大きさは0.5~0.8×1.0~2.0マイクロメートルです。

菌の名前について

 1930年、ネルソンによって、ニトロバクター ウィノグラドスキイと細胞の形態がそっくりな、亜硝酸を酸化する細菌が見いだされました。その細菌は顕微鏡下で活発に動きまわる一方で、ニトロバクター ウィノグラドスキイは当時は動かないとされていたことから、この細菌はニトロバクター アギリス(agilis;運動性があるという意味)と名づけられました。しかし1970年代になると、ニトロバクター ウィノグラドスキイにも運動性があることが判明しました。両菌種とも、特定の培養条件によって、運動性が発揮されたりされなかったりするようです。両菌種を区別するための決定的な要因であった運動性が同じであったことから、これらは同種とされ、菌名はニトロバクター ウィノグラドスキイに統一されました。ただし、かつてニトロバクター アギリスと呼ばれていた株は、現在も慣用名として昔の菌名で呼ばれることがあります。

ニトロソモナスと連携して水を浄化

 ニトロバクター ウィノグラドスキイは、亜硝酸を酸化して硝酸をつくりだす亜硝酸酸化細菌の代表です。アンモニア酸化細菌や脱窒菌とともに、汚水からの窒素除去に貢献しています。汚水に含まれる窒素の大部分はアンモニアです。まずアンモニア酸化細菌がアンモニアを亜硝酸に変換し、これを亜硝酸酸化細菌が硝酸に変換します。最終的には脱窒菌が硝酸から窒素ガスを作り出します。この窒素ガスが大気に放出されることで、汚水から窒素が取り除かれます。

(2023年6月時点)

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