菌の図鑑

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ブチリシコッカス フィーシホミニス

ブチリシコッカス フィーシホミニス
学名 Butyricicoccus faecihominis
分類 Bacillota 門 Clostridia 綱
Eubacteriales 目 Oscillospiraceae 科
形状 球菌
分布 ヒトの腸内
発見 2016年
発見者 高田ら(ヤクルト中央研究所)

菌の特徴

 本菌は、分子生物学的手法を用いて、ヒトの腸内に存在することが確認されていましたが、今まで分離培養されたことがありませんでした。腸内細菌が私達の健康にどのように関わっているのかを理解するためには、個々の菌を分離して、その性質を調べる必要があります。そこで、本菌を分離するために、あらためて分子生物学的手法を使って、ヒト糞便中における本菌の分布が調べられました。その結果、本菌がヒトの腸内に広く分布していることがわかりましたが、糞便中には生きている菌数が少なく、そのまま糞便を培養しても分離することが難しいと考えられました。そこで、種々の難消化性多糖を使った集積培養法を検討した結果、ムチンを介して本菌を増殖させられることがわかり、その培養液を寒天培地で培養することによって、初めて本菌を分離培養することに成功しました。

 本菌の特徴は、腸の上皮細胞のエネルギー源になる酪酸を産生することです。本菌は腸の粘液成分であるムチンを介して増殖するので、腸の上皮細胞の近くで酪酸を産生している可能性があり、そのことから本菌が私達のおなかの健康の維持に役立っていると推測されます。

菌名の由来

 属名のブチリシコッカスは、酪酸を産生する球菌を意味し、今まで鶏の盲腸内容物から分離されたピュリカエコーラム("鶏の盲腸"という意味)1菌種のみが報告されていました。フィーシホミニスは、"ヒトの糞便"を意味しますが、この菌名を採用した理由は鶏とヒトという分離源の違いを、菌名によって明確に区別したいという発見者の考えが有ったからです。

出典

 Takada T. et. al. Int J of Syst Evol Microbiol. 66:4125-4131(2016).

(2023年6月時点)

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