ビフィドバクテリウム モンゴリエンセ
学名 | Bifidobacterium mongoliense |
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分類 | Actinomycetota 門 Actinomycetes 綱 Bifidobacteriales 目 Bifidobacteriaceae 科 |
形状 | 桿状(多型性) |
分布 | 馬乳酒(モンゴル) |
発見 | 2009年 |
発見者 | 渡辺ら(ヤクルト中央研究所) |
モンゴルの伝統的な発酵乳
何百年にも渡って、モンゴルの遊牧民はウマの乳を発酵させて作る馬乳酒(アイラグ)、ウシ、ヤク、ヤギなどの乳で作るヨーグルト(タラグ)、ラクダの乳で作るホルモグなど、さまざまな種類の発酵乳製品を伝統的な手法で作り続けています。中でもアイラグは、搾りたてのウマの乳を皮袋や木桶の中で繰り返しかくはんしながら調製されます。この飲料は、野菜の乏しい彼らの食生活においてビタミンの摂取も兼ねた重要な栄養源になっており、乳酸菌だけでなく乳糖を利用する酵母の力で1%程度のアルコールも含まれています。
これらの発酵乳は古くからモンゴル人の健康に寄与する重要な食品として位置づけられてきましたが、近年ではプロバイオティクスとして強い関心が寄せられています。しかしながら、どのような乳酸菌や酵母がこれらの発酵乳に関与しているか詳細にわかっていませんでした。
アイラグから発見された31番目のビフィズス菌
ビフィズス菌は、現在では約100の菌種と10の亜種に分類されており、そのほとんどはヒトや動物の腸内に生息している偏性嫌気性の細菌です。
この菌は、2004年にモンゴルのアイラグやタラグなどの伝統的な発酵乳にどのような乳酸菌や酵母がいるのか調査した時に、ゴビ砂漠と、500km以上も離れた森林ステップ地帯で採取したアイラグから発見されました。乳酸菌を分離するために使用した寒天培地上にごく小さなコロニーを発見し、細心の注意を払って分離したところ既知の菌種には該当しない菌であることがわかりました。この菌は好気的な条件でもわずかに増殖することができる性質を持っており、かくはんを繰り返して調製されるアイラグの環境にうまく適応していると考えられています。
渡辺らは、この菌が分離されたモンゴルの地名を尊重してビフィドバクテリウム モンゴリエンセと命名し、発酵乳からビフィズス菌が分離された世界最初の事例として2009年に正式発表しました。
(2023年6月時点)
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